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手記5

3年半の不登校を乗り越えて再登校したケース


 小学校5年の終わりから学校へ行けなくなり、もう中学2年の終わりでした。私だけが色々な所にカウンセリングに行き、「見守ってやりなさい」「かわいがってやりなさい」と言われるだけでした。 たまたま近所の人が講演会の案内を持って来てくれて、自分のつらかった不登校体験をみんなの前で話す女子高生の話を聞きに行きました。 そして、我が子にももう一度学校へ行かせてやりたいと、講演会の後の親睦会で河合先生に、「我が子は三年半も学校へ行っていません。 かわいがりなさいと言われ、かわいがってやりました。体も元気になりました。でも学校へ帰る方向には向きません。私のかわいがり方が悪かったのでしょうか。 自分のことを皆さんの前で話せるまでに成長した生徒さんのようにうちの子ももう一度学校へ帰れるでしょうか。私は学校へ行かせてやりたいです。」とすがりつき、桜井先生を紹介していただきました。

 桜井先生は家に来てくれると聞きました。来てくれた先生に会うことは絶対にないだろうし、家に来たと怒って暴れ出すだろうと心配で不安でたまりませんでした。 でも、子どもが先生と出会って、再登校へ向かって歩き出した中で「エッ、この子が」とビックリすることがいくつもありました。

 先生が家に来てくれた初めての日、下りてくるように言っても「行かん。会わん。」です。 先生が2階に上がってくれて、「出てきて話をしよう。ちょっと顔を見せて。戸を開けて。」に「ダメだ。イヤだ。」ばかりで、戸を持って開けません。

 ところが、最後には明日、1時にもう一度会いに来ることになったのです。来られて10分から15分間のことでした。 朝と夜が逆転していつも起きるのは昼前か昼過ぎです。先生と会う約束をした日、なんと昼前には起きてご飯を食べ服を着替え顔を洗っています。 昨日、先生が帰ってから「なんでアイツが勝手に2階に上がってくるんな。誰が頼めと言った。今度来たら許さん」と暴言を吐いたのに。 約束の1時に先生は来られました。「呼んで来て下さい。」と言われました。私はヒヤヒヤしながら2階に上がりかかると、下りてきています。 そして自分から応接室に入っていったのです。私は今日こそはドタバタ騒動があると思っていたので、びっくりしました。先生は「約束を守ってよう下りてきてくれたね。」と言われました。

 今まで絶対に相談所やカウンセリングに行かなかったのに櫻井先生の事務所に通いだしたのです。2回目のことです。 行きの車の中でなにかこれからいいことがあるかのようにはしゃぎぎみで、着くのが少し早く事務所が閉まっているのを見た時、「やっぱりアイツも信用できん。アイツの言うことはもう聞かん、帰る。」と落胆ぶりは大きく不機嫌でしたが、帰って櫻井先生からの電話があると機嫌はすぐ直りそれから毎週通ったのです。

 それから朝、時間をずらして学校に登校するようになり、誰もいない部屋で最初は短時間からだんだん時間を延ばしていきました。  先生も立ち替わり部屋に入ってくれました。その期間が本当に長くて先生方は忙しいばかりなのによくつきあってくれました。  最初私は先生が入ってくれても話もできずブスーとして物も言わず先生方にイヤな思いをさせるだろうと心配していましたが、「ようしゃべります。1人でしゃべっていますよ。」と聞いてビックリしました。  慣れてくると「あの先生は一番ええ先生じゃ。」とか「あの先生が一番好きじゃ。」とか言い出しました。今まで学校の先生が家に来られるとスーと逃げていたのにビックリです。

 4月からずっと1人で部屋に入っていましたが、10月中に教室に入る計画をたてました。10月初めに計画して1ヶ月間の猶予があります。10月中旬に山陰で大きな地震があり、この辺りも大きく揺れました。次の日、教頭先生が「昨日の地震は怖かったなあ。」と言うと「ぼくにはもっと怖いことが待っとる。」と言ったそうです。 10月の最後の日に教室へ入って行きました。1時間だけですが実行したのです。櫻井先生が大変喜んでくれて、ごほうびにプレゼントをしてくれました。 一番凝っていた釣りのルアーを遠慮もせずに1個じゃなく3個も買ってもらったのです。私の方が遠慮しました。

 高校受験のためカウンセリングから勉強に変わって事務所に行き出しました。分からないのがおもしろくないのか時間が来ると釣りに行って勉強に行きません。 先生からの「来ないならそこまで探しに行く」を伝えると「来れるもんなら来て見い。ここまで探しにくるもんか。」と釣りを続けていましたが、しばらくするとやめて事務所へ行ったのです。 週1回のカウンセリングから勉強に変わって「今日はあそこに話しに行かんのん。」と寂しげに行きたそうに言うのです。櫻井先生は「受験が心配なのでしょう。カウンセリングに来て下さい。」と言われました。 1年半まであんなに行くのを嫌がっていたのにウソみたいです。

 学校へは1時間目から終わりまで行っているのですが、行き帰りは車でした。「自転車でいかれんもんかな。 いやいや、やっと教室に入られて大変な受験もあるから、次々望むのは無理だなあ。」と思っていました。卒業式の前日、「明日何時までに行ったらええん。」と聞くと「自転車で行くからええ。」と言って自転車で行ったのです。今まで毎日送り迎えをしたかいがありました。 受験も心配だったと思います。正月も終わって少ししてから「宮島のお守り」の方がええけど、遠いけえと「草戸稲荷のお守り」をもらいに行ったのです。 神頼みするような子ではないのでビックリしました。

 私立高校2校が不合格で公立高校もとても不安だったのだろうと思います。2月中に10回以上も自分の受験する高校の外まで見に行ったのです。 入学試験に合格してよかったです。一年かけて中学生活を体験できもう一度高校生活をするチャンスが得られて本当に良かったです。 指導してもらわなければ、動けなかった子が「エッ、この子がこんなことができるん?」とビックリすることもおこらなかったでしょうし、私はあの子をつぶしてしまっていたと思います。再登校指導を深く感謝しています。

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