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河合伊六教授 子育てのコツ(その2)

子どもをどのように褒めるか

 本誌の創刊号で「親の後ろ姿を見せるだけでは子どもは育たない。子どもの行動を褒める(認める)ことが重要である」と述べました。この点についてもう少し考えてみましょう。

 

 子育てには、叱ることだけでなく、それ以上に褒めることが必要です。日本の親は(私も含めて)褒め方が上手ではないようです。 褒めることが大切だと云ってもただやみくもに褒めれば良いのではありません。褒めることで良い効果をあげるには、上手な褒め方をすべきです。

 まず第一に、褒める回数を多くするよりも、どの行動(専門用語「ターゲット行動」)がどの程度に実行できたら褒めるか(専門用語「強化基準」)を決めておいて、 その行動が基準以上に実行できた時だけ見落とすことなく褒めることが必要です(専門用語「行動と強化の随伴性」)。 最初は毎回、そして徐々に褒める回数を減らしても実行できるように導きます。

 第二に、褒める時に、能力や性格などの「人間」よりも、行動を褒めることが大切です。 たとえば、忘れ物をして困っている友達に自分の持ち物の一部を貸してあげた子どもに「あなたは思いやりのある子だね」と褒めるのは「人間」(思いやりの「心」)を褒めています。 それよりも、「自分のものを貸してあげたのね」と褒めるのは具体的に「行動」を褒めています。 また、学力テストで良い点を取ったときに、「能力」(人間)が高いと褒めるよりも、努力したこと(行動)を褒めるべきです。「能力や性格」を伸ばしたいときにも、実際には「行動」伸ばしているのです。

 第三に、ごくわずかな(親の期待からみて不満足な)進歩であっても褒める(認める)ことが有効です。 そのためには僅かな進歩であっても褒める(認める)ことが有効です。そのためには僅かな進歩にも気付く目が必要です(専門用語「スモールステップの原則」)。
大幅に進歩しなければ褒めないというのでは、子どもはめったに褒められないことになります。意欲は、成功した、そして褒められた経験を通して高まります。
これとは逆に、他の子どもと比較してケチをつけたのでは、意欲は失われてしまうでしょう。ある小学校四年生の話です。
テストの点数が70点であったとき、お母さんからすぐに「福田君は何点だったの」と聞かれたので「80点だったよ」と答えたら、10点も負けてつまらんね」と云われたので「でも、この前のテストでは僕が80点であいつは70点だったのであいこだよ」と云ったら
「人のことはどうでもいい。あなたが100点を取らなけらばだめだよ」とまた叱られたというのです(お母さんは「相対評価」と「絶対評価」を自分に都合のいいように用いています)。

 第四に、褒めたのに子どもの行動が変化しないのは褒め方(専門用語「強化の仕方」)がまずかったからです。親の方が反省して褒め方を変えてみる。 褒めっぱなしにしないで、その後の子どもの行動に注目して効果を確かめることが大切です。


 

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