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再登校支援保護者の会 2003

◇第1回 再登校支援保護者の会 2003年4月26日◇

 第1回は、講師を囲んで保護者と直に語り合う時間を設けました(対話の内容の一部を掲載いたしました)。


櫻井: 文部省の指針が、本年度より「待つ」から「出向く」姿勢に転換されました。ただ、「出向く」という方針にはなりましたが・・・ 歩むペースが大人と子どもでは異なっているところに問題があります。
 つまり、時間の扱い方が違うのです。親の望むペースと学校の望むペースと、どちらを優先させるべきなのでしょうか? 日々、子どもと接している親は・・。子どもの動きを把握していていますが、どこまで学校に言っていいものなのでしょうか?また、言えるのか、ということです。
 また、福山の教育現場の難しさとして、スクールカウンセラー(非常勤)とSCPの先生(常勤)、そして担任の先生との連携のあり方にあります。

*SCP(不登校担当)の先生と担任との連携の難しさ

Sさん: (中3 女子 Kちゃん 中1で不登校。再登校するが、2年の修学旅行に参加できず、断続欠席が続いている状態。 2年生の時の担任が3年もひき続き受け持ってくださっている。 新学期が始まり、SCPの先生のいるカウンセラー室へ登校したりすることもあるが、担任の先生が「カウンセラー室」の生徒として子どもとかかわっているように思う。担任との間に溝を感じている。)

櫻井: 母親としてはSCPに話しやすいので、SCPに電話をかけてしまうけれど、担任に直接連絡することが大事です。
 実際問題として、SCPの成り立ちからして、学校内で動く難しさがあります。教科担任と養護教諭とは扱われ方に違いがあるのです。
 Kちゃんの場合、「高校に進学したい」という気持ちが根底にあります。実際に教室に戻った時に、担任との連絡が取れていないと挫折してしまうことが考えられます。
 また、「カウンセラー室で過ごせばいい」という発想では学校の中で達成感が得られないということですので、子どもがしんどくなってしまいます。
 また、高校進学を希望しているので、中3の時に、保健室やカウンセラー室から教室へ行くという葛藤を経験することが大事です。
 それは、「教室で授業を受けることが当たり前」という意識づけをすることになります。高校に進学してからの適応が違ってくるのです。
 往々にして、不登校時数の減少を目標にした場合、陥りやすい危険は、とにかく保健室にきたら出席とする、という発想にあります。

*情報・刺激の一本化が大切

Hさん: (高校2年 女子 Sちゃん 中学校では場面緘黙や身体硬直などの症状から3年生の1学期までは教室に入ることも難しい状態であった。 2学期から少しずつ教室に入り、授業を受ける取り組みをおこない、無事高校進学を果たす。 高校1年時には月1回の研修旅行にも参加し授業も全て参加していたが、3学期より欠席が目立ち始める。)

櫻井: 今、パニック状態に陥っていて、親も本人も何をどうしていいのかわからない状態になっています。Sちゃんの場合、刺激の入れ方が大事です。 継続した刺激を、誰が入れるのか、そしてその刺激を誰が制御するのか、その防御策がないと大変です。ものごとはうまくいきだしたときこそ、注意が必要なのです。 親が「まだ、何が起こるかわからない」という不安を持っているほうが、大きな落ち込みもありませんが、ホッとしている時に何かが起こると親のほうもパニックになってしまうのです。
 また、相談をする時の約束として、例えばリブの場合、「メールでのやり取りは、〇曜日と〇曜日だけ」というルールを作りました。 できない日の葛藤が子どもを成長させるし、本当に聞いてもらいたい悩みをそこに集約させることができるのです。
 また、今、Sちゃんにとって、強い対象物がないことも挙げられます。パニックになっている時に、学校や周囲がひいていることにも一因があると思います。 具体的な対策としては、担任の先生、お母さんを含め、情報の出所を一本化することです。 また、友達との関係においても、対象者を絞り、刺激の出所をシンプルにすることが今のSちゃんには大事なことです。

*兄弟間の不登校連鎖を食い止めるために

Sさん: (高校2年生の姉、中学3年生のKちゃん、小学生の弟。Kは中学1年のころより断続不登校が続き、母親もKにつきっきりになっていた。 最近になって、姉の様子がおかしいということで相談される。最近になって、「学校を辞めたい」という発言が増えています。どのような声がけをしたらいいのか・・・)

櫻井: 今、学校に行っていても、これはぐずっている状態です。「あなたの大事な時期に、話を聞けなくてごめんね」ということをまず言ってください。 兄弟の中でひとりが不登校になると、ほかの兄弟は必要以上にふんばってしまいがちなんです。それがいつかふと張り詰めた糸が切れてしまうのです・・・・。

 

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