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再登校支援保護者の会 2002

第1回 再登校支援保護者の会 2002年4月27日

 第1回は講師を囲んで保護者と直に語り合う時間を設けました。(対話の内容の一部を掲載しました。)

*再登校支援保護者の会を立ち上げたのは・・・

桜井: 不登校問題といいますのは、全国13万人以上といわれており、かなり深刻な問題になっています。
それに合わせ、その後にくる引きこもりの問題などを含めて社会問題とされています。
そのような中で再登校もしくは自立を目指した指導を行っている機関は非常に少ないということ、それと同時にそのような経験を持たれたお母さんが元気でいい子育てしてくださることが、道に迷う保護者の皆さんの支援になるということで、いろいろな目的を持ちましてこの会を立ち上げました。
この会で話したことはそれぞれの子どもさんや家庭に関することですので、オフレコということでふせていただけたら、と思います。
参加される方は数年前に指導を終了されたお母さん、つい最近指導を終了されたお母さん、また渦中にいる方、それから、これからそのような問題に取り組まれようとしているお母さんなど、それぞれの段階が違っていると思います。
それぞれの話を聞いていくことで、力になることもあると思いますし、お互い力になれたらいいと思います。

*保健室登校のままでいいのだろうか・・・

桜井: 今、私が思うことのひとつに、学校に対して向いていくという姿勢を保護者が見せていくことが非常に大きいと思います。
再登校の前提には、100%学校復帰だとガチガチに考えてもらわなくてもいいのですが、ただ今、やりたいことがないのであれば、学校という枠の中で少しずつ成長していく過程を見つめるということも必要かと思います。
今、心の相談員とかいろいろ入って来て、教室に行かさなくてもいい、学校に来てさえいればそれで出席のカウントができるので無理にそこまでする必要がないと考える傾向が若干あるように思います。
ただ、私の経験の中で学んだ点、反省すべき点として、一番は教室にまで登校しきるということが、その子の将来にとても大事だということです。
心の相談室とか保健室登校のままで、教室登校にまで強く押さなかった場合、高校に入った時点で、その子が教室、新しい環境に適応する過程でのハンディは非常に大きいものがあります。 私は教室登校を大前提に、そこまで持っていきますので、最初の数ヶ月はとてもハードになります。
目標を「教室」におきますと子どもにとっては、「保健室に行っているからいいじゃないか」とか、学校側も保健室に来てくれているのだからそこまで無理をして教室に来させなくてもいいでしょうと正直言って反発がでます。
保健室登校でいるということは、学校に行っているからいいという考えもありますが、実際には学校内不登校ですから、「学校に行っているけど、学校内不登校だ」ということを認識した上で、子どもに接していかないといけません。

*いつになったら安心できるのでしょうか・・・

桜井: Aさんどうですかね。中1の不登校のときから今高校3年になって4,5年たちますがどれくらいの時期まで心配ですか。

Aさん: 1年半位までは毎日行っても不安で、朝起きてきたら当たり前だけど「こんな風に起きるのだ」と思います。 そして1年半位後に子どもが自分から何かをし出しました。

桜井: 私達と離れてだいたい1年くらいは不安だと思います。
これは認知、考える力の問題に関係しますが小学生、中学前半でかかわったお子さんは高校になって、中学校後半、高校で経験した子どもはは1年くらいして、初めて「あれでよかったかなあ」と思います。
自分の過去を見れるようになるときが自立した時です。指導中は昔に戻るのが怖いので自分が追い立てられて前に進んでいます。
1、2年の間にその生活が当たり前になったときやっと自分が客観的に見れるようになります。

*ひきこもりがちの娘が大検に合格し大学生になりました。でも・・・

桜井: Bさんは子どもさんがやっと大学に行ったけれど不安でしょう。

Bさん: はい、普通の子がするように荷物の用意をして今大分のほうで一人暮らしをしています。初めて私たちから離れて本当に夢のような気持ちで送り出したものの不安です。
半分くらいしか授業にでれなくて。桜井先生に相談させてもらって短大なので2年のところを3年かけるつもりで行かせたらいいでしょう、と言われてほっとしました。
電話の声は元気なのでこの子は元気で一人暮らしをしていてくれるだけでもありがたいかなあという気持ちになりました。行って一緒に生活をしようかと思っていましたから。

桜井: 大事なのは節目をクリアした後の次の節目は慣習に従う必要は無いということです。Bさんは18歳で大学の受験をするという目標をみんなと同じ年にクリアしました。
大学で留年したり、浪人して大学に行っても同じです。それを考えたら次の目標のクリアは2年先ではなくて3年先でもいい。保護者がどのような声掛けをするか大事です。
「あなたはお母さんに心配もかけずにみんなと同じ様に大学に行ってくれた。だから1年くらいあなたのことを心配してもいいのよ。」といって1年という余裕を家族で見ていることは大きいと思います。
これは大学という枠に入った、つまり一つの節目を越えたから言えることです。でも子どもの成長とともに形は変わっているので以前と同じことはしないでくださいとお願いしました。
お母さんが「大分に行く」と言われたので「朝もつれても仕方が無い、こうやって1年もつれてきたんだから」と話しました。
でもお母さんは子どもが朝起きていないと一年前がフラッシュバックするので不安になるのです。また行かなくなるのではないかと思って。
しんどかった時の子どもとは違うし、去年の子どもとは違う、と絶えず思ってください。
子どもはしんどい過程を経験して少しずつでも成長しているのでまったく同じところには帰らないのです。

*親の対応が大事です・・・

桜井: ある高校生のご両親が「また子どもが元に戻ったから大変だ」といってあわててこられました。その子を大変にしているのはおかあさんなんですね。
指導中はお母さんがたてになって一生懸命、ぶつかり合いをして子育てをしています。何年かして落ち着くと、お母さんが昔の対応に戻っている。「これをしてあげるから学校に行って」といっているのです。
「学校に行くのなら送ってあげるわ」といっている。そうすると楽なほうに子どもは逃げてだんだんと学校へ行かなくなります。
桜井に相談後、お母さんの対応が変わり、「駅までは送るけど学校までは送らない」「これができてからそのチケットを買おうね」と言っている。
また桜井先生に入れ知恵されてきたと子どもは思う。しばらくして電話してみると「頑張って学校に行っています」という話でした。
「合宿に行きたくない」とか「学校へ行きたくない」といったらお母さんが何か買ってくれると思っている。行きたくないといっても行こうと思っているかもしれない。
結局は元に戻ったのではなく楽な方法に流され、賢くなったのです。子どもは絶えず揺さぶるのです。
「お腹が痛い」「体がだるい」とかは子どもがしんどいときによく聞いているのでお母さんはその言葉に莫大に反応するのです。
いつもポケットに胃薬や安定剤を入れている人もいます。子どもは上手にその言葉を使うので子どもの言葉に振り回されないことが大事です。

*子どもの行動が少し気になったら・・・

桜井: 意外と指導期間中は気にしてものをしゃべっているし、言われたままを言っているのでお母さんの言動はすばらしい。
子どもが「昔に戻った」ような気がするときお母さんが何か傷つけることを言っていることがあります。
その時は2、3日でもいいので自分が子どもにどういうことを言ったか書いてみてください。
朝「おはよう」という代わりに「はよおきよ」と言っているかもしれません。
もう一度自分のリズムをみてみると意外と笑い話になることがあります。気が付いたことがあったら「お母さんこういうことしとったわ」とストレートに子どもに言ってください。
そうすると子どもは「ほれみー」とか色々言います。
そしたら「あなたが大変な時は元気でいてくれたらいい、学校さえ行ってくれたらいいと思っていたのに毎日学校に行くと今は勉強が気になるわ。でも勉強してよ。」というふうに前置きなしに言わないことです。それと同時に「お母さんが学んだことのひとつはあなたの話を聞くということなんよ。」と言ってお母さんに対する不満を書かせます。そうすると1.お母さんブス 2.お母さん嫌い、とかいろいろ出てきます。 あるときやってもらったらお母さんに対する文句が15個出てきました。それを「~家15か条」として冷蔵庫に貼ってもらいました。そうするとそれを見て会話が生まれてくるのです。お父さんもそれをみて「ふーん。あたっとるのー。」とか言ったりしますが、ある日帰宅するとその紙が捨ててあった。「これどしたん」と聞いたら「もうええ、わかった」と子どもが言いました。もし子どもが正面きって物を言わずに黙っていたら「明日の朝までに書いといて」と言う。すると「死ね」とか「お母さん嫌い」とか色々書いてあります。これを「~がお母さんに直してほしい点」と書いて必ず貼ってください。これでかなり子どものストレスが発散されます。子どもにお母さんが自分の話をちゃんと聞いてくれたということを教える事です。その話がしょうもなくても冷静に受け止めることで違います。子どもは同じ次元で喧嘩が出来ないなあと思うからです。

*子どものストレスがお母さんに向いていて当たり前・・・

桜井: 子どもが学校に行きだしたらストレスがかかっているので少し遊び心を持った会話をしてやることです。
それが子どものストレス対処法です。
ストレスがお母さんに向いていて当たり前です。それを受け止めた後に親子関係ができます。 女の子だったらグジュグジュ言う子がいるのですが頭から「あなたが変わらんといけんよ」というと親は分かってくれないと言います。あまり聞きすぎてもいけない。
「Y先生嫌い」と子どもが言ったらそれを受け止めて親が「そうよね、嫌な先生よね」というと子どもの怒りか親の怒りか判らなくなって子供がしらける。
そう言った
ら「どれくらい嫌いなの」とか具体的に話を聞いてやる。そうすると子どもは邪魔くさくなる。 上からものを言わないで真面目に受け取る姿勢が大事です。
よくあるのは電車通学で「電車の中で人に見られた」とか、「嫌なことがあった」と言ったら車で送ろうかというのではなく「心配だから一緒に電車でいこうか」とか「何号車に乗る」とか電車に関わることをしてください。子どもは話したことを全て解決して欲しいと思ってはいない。 会話をすることが大事です。どうする、こうすると会話の時間を持つことが大事なのです。

*母親が一歩変われば・・

桜井: 子どもが変われば親が変わるといいますが、親が1歩変わると成長と発達の関係から子どもはもっと変わります。 子どもの変わるきっかけは親であることを肝に銘じてください。 母親が変わると言うのはないものが出るのではありません。持っている器の中で良いものが出るのです。
悲しいことやしんどいことが重なるとイライラして悪いところばかりでてそれがお母さんの人格になる。
人間は良いところと悪いところを持っていてそのなかから良い所を出す事によってそれに刺激を受けて子どもが変わるのです。それと子どもがつらく当たるとお母さんは暗くなります。
暗いお母さんを見ると子どもは腹が立つ。無理をしてでも30分でも元気なお母さ
んを子どもに見せることです。それによって子どもが安心します。子どもの気持ちも楽になる。 子どもは好きでしているのではない。「お母さん、あっち行け」といってもそれを社会にいいたいのかもしれないし、先生に言いたいのかもしれない。矢面にたつのはお母さんなのです。

*子どもが学校に行き渋った時の対応は・・・

桜井: C君は小学校5年間不登校で、再登校を始めて10ヶ月ですが4月に入って学校に行き渋った信号はどのようなものがありますか。

Cさん: 「今日は行きたくない」「今日はどうしてもいかんといけんのん」と言います。

桜井: そういう時お母さんはどういう会話をされますか。

Cさん: 友達と待ち合わせをしているので「友達が待っとるよ」と言います。今は週3日行っています。 その日に応じて2日は決めた時間だけ行っています。みんなと違う時間に行くのでどうしても私に送ってくれといいます。

桜井: Cさんは長期不登校だったので学校に触れることをしてください、とお願いしています。 子どもがそう言ったら学校に行く前に子どもの前で学校の先生に電話してください。 「今日は下駄箱まで動けるといっているのでそこで挨拶をして帰ります。そこまで出てもらえますか。」といってください。 このとき「下駄箱までしか行けない」といわないでください。くどくど言わない事です。

Cさん: 学校に行っても降りないで「お母さん、先生のところに行ってきて」と言います。

桜井: 降りない時は「はよ、降りなさい」と言うのではなくて「あなたが言ったことを先生に伝えたからお母さんは何をしたらいい。」「あなたの気持ちが伝わらないから先生にきてもらおうか。」と言ってください。

Cさん:「学校に行かされている」と本人が言うのです

桜井: ひるまないことですよ。子どもが「学校に行かされている」と言ったら「それがどうしたん。親孝行だからがんばり。」「あなたが学校に行ってくれるからお母さんは幸せ。」と言う。言葉を逆手にとってそのように会話を持っていってください。

Cさん: 「そういうなら行かんでもいい」と言ってしまいます。

桜井: お母さん主導型になっています。基本的にはお母さんが不安で自信がないときは危険な会話はしないで下さい。 「あなたが決めたことよ、お母さんが決めてもあなたが『うん』といったらあなたが決めた事よ」とあくまでも日々の計画と約束は本人が主導で決めていることを徹底してください。 Cさんはお母さんの気持ちが前面に出ているのだと思います。

桜井: 中間試験発表があったらたとえ半日でもいいから毎日学校に行かせてください。 その時に「あなたにとっていい情報が入るかもしれないから行きなさい」と言います。環境によって子どもの登校行動を変える事です。 小学校の間はずっと同じ様な環境でしたが中学になったら子どもの登校行動は行事にあわせて毎週見直しましょう。あきますからね。

Cさん: 先生は「授業を抜けることによって遅れることが心配」と言われたのですが。

桜井: 今、頑張りすぎて1ヶ月抜けるより毎日少しずつ午前中だけでも学校に行くほうがいいです。
午後から帰るのであれば先生に「しっかり情報を入れてやってください」とお願いしてください。
「明日の数学は~だから休んだらやばいぞ」とか「明日の午後は体育で~をやるからやってみるか」とか声がけをお願いしてください。
つまりまず学校に触れて自分に合う情報を得る。仲間に触れることが大事です。そのほうが大きいです。

*前向きな葛藤が大事・

桜井: 一つ一つが疑問の連続だと思います。日々お母さん方は葛藤されているわけですがそれを前向きな葛藤としてとらえてください。 学校を辞めると朝起きるかと、はらはらしなくてもいいので非常に楽ですが、だいたい1ヶ月くらいしたらこれでいいのかと不安になります。
今しんどい思いをしているお母さんは、この朝が無ければいいのにと思っていると思いますがその葛藤があるうちにしっかり親子関係を作ることが大事です。
それでも学校に行かない選択をした子どももいますが、それは葛藤した後に納得の上でやめている。納得のいかない所で安定しないで、本人が自分の足で選択できるまで葛藤することが大事です・・・。

 

 

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